2026/10/27
先日、将棋界において歴史的なニュースが飛び込んできました。 ヒューリック杯白玲戦で通算5期目のタイトルを達成していた西山朋佳女流4冠が、権利取得後2週間余りの熟考の末に、「女性初となるプロ棋士(4段)」へ編入することを決断しました。
記者会見での理由は非常にシンプルで、そして力強いものでした。「もっと上を目指したい、強い人たちと指したい」。
本当に、素晴らしい決断だと思います。 現在の女流棋士界は、実質的に福間香奈さんと西山朋佳さんの「2強」時代です。その一角である西山さんからすれば、福間さん以外の女流棋士に負けることはほとんどありません。タイトル戦は毎回のようにこの2人の一騎打ちとなり、観ている側としても「誰かこの2人に割って入れるような、新たな強い女流棋士が現れてくれないか」と歯痒く感じていたほどです。
しかし、新たな挑戦者が現れるのを待つのではなく、西山さん自身が「プロ棋士の荒波」へと飛び込み、フリークラスから這い上がる道を選びました。
途方もなく険しい「プロ棋士」という頂
プロの将棋界の本流は、なんといっても名人戦につながる「順位戦」です。そこでC級2組(C2)からC1、B級へと上がり、さらにAクラスのトップを目指して名人に挑戦する――それがプロ棋士にとっての最高の頂です。
しかし、西山さんが編入するのは「フリークラス」です。ここから順位戦の舞台へ這い上がるには、さらに気の遠くなるような、血の滲むようなイバラの道を突破しなければなりません。昇級のための条件は極めて厳格です。
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年間対局の成績で、「参加棋戦数+8」勝以上の成績を挙げ、なおかつ勝率6割5分以上
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良い所取りで、30局以上の勝率が6割5分以上
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年間対局数が「(参加棋戦+1)×3」局以上
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全棋士参加棋戦優勝、またはタイトル戦挑戦
これまでの長い将棋界の歴史の中で、フリークラスからC2へ昇級できた人は、わずか12人のみです。
プロ棋士になるための基本ルートは、年2回開催される「三段リーグ」で上位2名に入るか、次点を2回獲得すること。あるいは今回のような特例規定(白玲通算5期など)です。 三段リーグには約40人の精鋭が参加しますが、プロになれるのは上位わずか2人。突破率はたったの5%という凄まじい狭き門です。過去の18局での突破平均勝数は、1位が約14勝、2位が約13勝。西山さんが過去に「14勝4敗」という高成績を収めながらも、リーグ開始時の順位の差で涙を飲んだことがあるように、あの藤井聡太名人・竜王でさえ13勝5敗で突破している世界です。運も実力のうちとはいえ、あまりに残酷で美しい勝負の世界です。
そんな過酷な世界へ、あえて自ら飛び込んだ西山さん。 年齢制限(満26歳の誕生日を迎える三段リーグまで)という大きな壁があるのは、プロになれなかった場合のセカンドキャリアへの配慮、つまり「あきらめて別の道を探すための線引き」でもあると聞いています。その厳しい制限の中で、例外的な規定をクリアして編入できた人はこれまで4人、西山さんで5人目となります。 先人である瀬川さんや今泉さんのように、西山さんにもぜひプロの舞台で暴れ回ってほしいと心から応援しています。
ゴルフという、もう一つの「狭き門」
さて、目をゴルフの世界に転じてみましょう。
ゴルフの世界もまた、言葉を失うほどの狭き門です。 JLPGA(日本女子プロゴルフ協会)のプロテストは、二次テストを経て、いよいよ最終テストに進むメンバーが決定しました。今年の一次テストには実に672人が参加し、そこを勝ち抜いた104人が最終テストに臨み、合格できるのは「上位20位タイまで」。 合格率はわずか3%という、まさに超・超難関です。※ちなみに男子のプロテストは50位タイまでですから、女子の厳しさが際立ちます。
さらに、プロテストに合格したからといって、すぐにツアーに出場できるわけではありません。試合に出るためには「シード権」を獲得しなければならず、そのためにはQT(クオリティファイングトーナメント)を突破して上位に入る必要があります。QTの上位(40位くらいまで)にいなければ6月のリランキングまでの試合に出られず、そこでポイントを稼げなければ後半戦の出場すら危うくなる。プロになっても、そこから延々と続くイバラの道です。
今年、アメリカに主戦場を移してからずっと苦労を重ねていた日本勢のうち、西村優菜選手と吉田優里選手の2人が、米LPGAツアーで待望の「初勝利」を挙げました。西村選手は4年目、吉田選手は3年目での快挙です。 彼女たちが参戦した翌年には、山下美夢有選手、竹田麗央選手、岩井姉妹といった国内の最強たちが一斉に渡米し、初参戦ですぐに優勝していくという衝撃の世代が続きました。しかし、その前年に渡米した吉田選手や西村選手は、予選落ちが続き、トップテンにすら入れない非常に辛いシーズンを過ごしていました。
日本国内ではトップクラスに強かった彼女たちが、アメリカの厚すぎる選手層の前に打ちのめされ、それでも撤退せずに粘り強く戦い抜いて掴んだ初勝利。本当に素晴らしい快挙です。
先週優勝した吉田選手が、勝利者インタビューでこんなことを言っていました。「日本にいた時は、ゴルフを舐めてました。アメリカに行ってから、ゴルフが本当に好きになって、ハマってしまいました」
この言葉を聞いた時、私は鳥肌が立ちました。 先ほど書いた、プロ棋士になった西山さんが言った「もっと上を目指したい、強い人たちと指したい」という言葉と、完全にリンクしているように感じたからです。 その道を極めた者だけが辿り着く境地から発せられる言葉は、本当に深くて重みがあります。
さて、私のゴルフはというと……
そんな偉大なプロたちの境地に感銘を受けつつ、我がゴルフの調子はというと、相変わらず一筋縄ではいきません。
昨日、ゴルフ倶楽部から連絡が入り、ずっとキャンセル待ちをしていた日曜日の「月例競技」に、なんと出場できることになりました! スタートは10時過ぎの遅い時間、コースは私の最も苦手とする「美濃の中東コース」です。
正直に言って、自信など1ミリもありません。 昨日も練習場へ行きましたが、スイングはまだまだ安定していません。それどころか、最近また「コックの入れ方」に凝りだしてしまい、自分で自分のスイングを微妙な迷路に引き込んでいます。「また余計なことをやり出しているな……」と呆れつつも、試行錯誤が止まりません。
ただ、この新しいコックの入れ方と今のクラブの降ろし方の相性は悪くありません。 ウェッジでの90ヤード前後のショットまでは、コックや降ろし方を意識せずにスムーズに打てていたのですが、最近ちょっとシャンク病が出始めたため、あえてコックを入れて通常のスイングのように振ってみたところ、52度(90ヤード前後)ではかなり良い感触を掴めました。ただし、58度の60ヤード前後はまだちょっと難しいですが……。
練習をしなければ絶対に上手くならない。しかし、下手に練習しすぎるとかえって調子を落としてしまうこともある。このゴルフというスポーツとの向き合い方は、本当に難解です。
「コックを入れる」という動作は、クラブをカチッと固定するものなので、無意識のレベルで自然にできるようになったら再現性が劇的に高まるはずです。 今のやり方が正しいのかはまだ分かりませんが、多少の意識を伴いながらも「数千球」の単位で打ち込めば、いつか体に染み込んで慣れてくれるでしょうか。ただ、やり方が少し悪いのか、左手の親指の付け根がちょっと痛くなってきているのが現在のプチ問題です(笑)。
今週末の日曜日は、苦手な美濃・中東コースでの月例競技。 天才たちの「もっと上へ」という高い志には遠く及びませんが、私なりの「真スイング」と新しいコックの感触を信じて、泥臭く、全力で戦ってきます!